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『ポエトリー アグネスの詩』 

イ・チャンドンの新作。

静かな川がたうたうと流れ、
水辺に遊ぶ子供たちの嬌声が聞こえてくる。
そこに、上流からゆったりと少女の自殺死体が流れてくる。
そんなシーンから始まる。

ポエトリー④

この人の映画は観終わってからも、いつも映画の中のワン・シーンが脳裏から離れない。

ソウルの郊外に住む66歳のミジャ(ユン・ジョンヒ)は中学生の孫と二人で暮らしている。
彼女の娘は息子をミジャに預けたまま釜山で一人で働いて、ミジャは介護ヘルパーの仕事と年金で孫を養っていた。
貧しいけれど、幸せであった。

ある日、彼女はアルツハイマーを病んでいる事を病院で告げられる。
しかし、彼女はその事を娘や孫に内緒にしたまま、子供の頃「詩」を書くのが上手いと褒められたのを思い出し「詩」の教室に通い始める。

だが、ミジャには未だ「詩」を書く感性も、言葉も思いつかない。

ポエトリー①

彼女に不幸が訪れるのは、中学生の孫が起こした事件からだ。
孫の中学生は仲間たちと共謀して同じ中学生の女の子を輪姦したのだった。
その娘は、それを悲観して橋の上から身を投げる。

その娘の名前がアグネス。
冒頭の溺死体だ。

ミジャの孫は反省の素振りも無く、いつも通りの無愛想でわがままだった。
何とかこの事件を内輪の話に収めようとする孫の仲間の親たちと学校は、
アグネスの母親と示談交渉を始める。

同じ女同志と云う事で、ミジャはアグネスの母親に会う事になる。
しかし、農夫で貧しいその若い母親に会ってもミジャは何も言えない。
来るときに畦道で拾ったアンズが美味しかったとか、
自分が花が大好きだという話しかできないで、帰ってきてしまう。

示談交渉は動き出すが、ミジャには示談に必要な金もない。

それどころか、ミジャは死んだアグネスの事が頭から離れなくなる。
アグネスのミサに一人で出かけたり、
アグネスが身を投げた橋を訪れたり…。

ポエトリー③

ミジャの心は段々とアグネスと共有するように、惹かれてゆく。
ミジャはアグネスが生きていた時に観たであろう周りの景色をアグネスと同じように訪ね歩く。
やがてアグネスの心と通底する様に、ミジャの心に言葉が、「詩」が生まれてくる。


ポエトリー②

イ・チャンドンのこの作品も、シナリオが実によく練られている。
彼の映画はすべて脚本が良いのだろう。
不要なシーンが殆どなく、極めてロジカルに構成されている。
それでいてセンチメントだ。


『ペパーミント・キャンディ』の列車の後ろから撮った、過ぎ去ってゆく線路のリバース(逆回転)ショット。

『オアシス』の彼女の部屋のタぺストリーにある小さな絵のオアシス。

『シークレット・サンシャイン』の庭の片隅の水溜りに写る小さな陽差し。


静かなそれらの情景にイ・チャンドンの「まなざし」を感じ、
ボク等は彼の映画に心を揺さぶられる。

人を見る、人生を見る、やるせなくて切ないイ・チャンドンの「まなざし」に思わず、涙する。

人生の光と影―――

ラスト・シーン、カメラに向かい微笑むアグネスになったミジャ。
そして、一つの「詩」が紡ぎ出される。

いつも、この監督のラスト・シーンはストレンジで、魅力的だ。









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2012. 02. 14. (Tue) 17:42  [映画コメント:0  トラックバック:0

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