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『マイ・バック・ページ』 

文芸・映画評論家の川本三郎が『SWITCH』と言う雑誌に連載した自伝を原作にしている。
単行本になった時には「ある60年代の物語」という副題がついた。

彼は丁度、68年「東大安田講堂事件」の年に東大を卒業し、朝日新聞に入社する。
そこで「週刊朝日」と「朝日ジャーナル」の記者時代に、自称「京浜安保共闘」の幹部と名乗る青年と知り合い、やがて彼が自衛隊朝霞駐屯地の自衛官を殺害した事件に繋がる「証慿湮滅」という罪で逮捕・起訴され、朝日新聞社を馘首(クビ)されるまでの話だ。
後に赤衛軍事件と呼ばれた。
40年前の事件でありながら、「取材源の秘匿」というジャーナリズムの根源に係る問題がテーマになっている。


①マイバック

その話を、当時生まれていなかった山下敦弘(監督)と向井康介(脚本)が映画化した。
『リンダ・リンダ・リンダ』のコンビである。
この企画が誕生したきっかけはプロデューサーの根岸洋之君に拠るところが多いとは思うけれど、根岸君とてこの時代をリアルタイムには生きてはいない。

そんな若い創り手達がどんな映画にするのか、ボクにとってはとても楽しみな映画だった。


観終わって、最初に思ったのが、
彼らはこの映画のキー(切り口)を「男の涙」に置いたようだ。
先ず、妻夫木聡とヒロインらしき少女役の忽那汐里がデートで観た映画が『ファイブ・イージー・ピーセス』。
ジャック・ニコルソンが流した「男の涙」に少女が感動する場面がある。
やがて、彼女は列車に飛び込み自殺を遂げるが、もう一人の主役である革命家の松山ケンイチが『真夜中のカーボーイ』のダスティン・ホフマンの「男の涙」に感動するエピソードが続く。
男がちゃんと泣く事は恥ずかしいことではない、と映画の登場人物は語る。
そして、ラストシーンで妻夫木がふらりと入った焼鳥屋で、偶然の旧友との再会にひとり「男の涙」を流す。

情緒的にはこの「男の涙」は理解できるのだが、
ぼくには、今ひとつ心に迫っては来なかった。

犬童一心の『ジョゼと虎と魚たち』と言う映画のラストで、同じ妻夫木がそれこそ滂沱(ぼうだ)の涙を流すシーンがあった。
その映画の妻夫木の涙に監督の山下敦弘がインスパイアされた、と或るテレビの番組で語っていたけれど、その涙とはちと違う。

今度の映画の涙は「負け」の涙だ。
警察権力と会社の権力にジャーナリストの卵が惨めに敗北した涙だ。
彼は負けた自分に情けなくて涙を零したのだ、とボクには思えた。

よく考えてみると、この主人公(妻夫木)はかなり未熟だ。
先輩のジャーナリストがあの男(松山ケンイチ)は偽物だ近寄るな、と注意したにも拘わらず「宮澤賢治」とCCRの「雨をみたかい」で引っかかってしまう。
幾ら若い駆け出しの記者にしろ、あの胡散臭い偽革命家(マツケン)に騙されるキャラにしたのは映画としての造形が浅い。
原作者の川本三郎がそうだったのかも知れないが、スクープをモノにしようとする野心がミエミエだ。

やはり、トータルに映画を見返すと山下・向井のコンビの良さが全く映画に反映されていない。
もっと、ちゃんと成熟した視点であの時代を切り取って欲しかった。
かなり中途半端な映画になってしまった。



昔、ボクは荒井晴彦監督で全共闘世代のその後を描いた映画を作った。
それは、あの時代の恋愛とセックスがテーマだった。
川本三郎がその映画の試写に来た事があった。
彼は映画が終わらないうちに席を立って帰って行った。
監督の荒井晴彦がそれを見ていた。
そんな事があった…。


昨日、その荒井氏が編集長をしている「映画芸術」を読んだ。
その中で、この映画の座談会が掲載されていた。
比較的年の若い脚本家の青木研次がひとりだけ、「好きですね、この映画。誠実に作られている」と答えていたけれど、
後の全共闘世代の佐伯俊道(脚本家)は「消化しきれてない。映画的に不快」
スガ秀実(文芸評論家)は「魅力がない」等と、概ね年寄りには不評だ。
荒井晴彦に至っては、
「学生運動へのコンプレックス。ルサンチマン(嫉妬)だ。」と扱き下ろしていた。


さて、みんなの感想は……?










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2011. 06. 01. (Wed) 21:59  [映画コメント:0  トラックバック:0

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