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『海炭市叙景』 

去年から時間が合わずに観られないでいた映画だった。
やっと、ユーロ・スペースで観ることができた。

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監督の熊切和嘉も脚本の宇治田隆史も30代後半の若手。
撮影の近藤龍人も含めて大阪芸大仲間の自主映画出身。
スーパー16㍉で撮影し、ダイレクトブローアップ。
低予算のハードスケジュールだったと聞いたが、
デジタルカメラを使わずフィルムにこだわった映像が先ず、気持を和らげる。
しかも、二時間を遥かに超える長尺映画だったが、
そのままずっとそこに座って観続けたくなるような心地良さを観客に与える。

41歳の時、自死した不遇の作家・佐藤泰志の未完の連作集が原作。
その中から5つの短編を選び、それらのエピソードが心地よく関係を持ちながら珠玉の様なシーンに仕上がっている。

人生って上手くゆかない事が多い。
熟熟(つくづく)そう思いながらも、今日も明日も生きてゆく人々。
市井のそんな人々を丁寧にカメラは追いかける。

「まだ若い廃墟」では子供の頃炭鉱の事故で親を失くしながら、健気に生きてゆく若い兄(竹原ピストル)と妹(谷村美月)。
その二人に今度は勤め先の造船所のリストラが襲う。
生きるすべのない二人は除夜の鐘を聞いた後、暗い夜道を展望台に向かう。
そして、朝になっても帰ってこない兄を待つ妹。

海炭市叙景②


「ネコを抱いた婆さん」では全くの素人のお婆さんとその猫が主役。
地域整理の為、一軒だけになったボロ家に残り野菜を売る老女。
煙草を吸う仕草が、「小茶」のオバちゃん(※)にそっくりだ。

海炭市叙景③

「黒い森」ではホステスをしている妻(南果歩)の浮気と、口を利かない反抗的な息子に悩むプラネタリウム技師の男(小林薫)。
かっての家族3人で森の中で本当の星座を観た生活が取り戻せない、家族で居ながら孤独。

そして、彼のプラネタリウムに家族の不和で行き場所のない少年が通う。
それが「裂けた爪」の加瀬亮の一人息子。
加瀬は自分に向いてない家業を継ぎながら、新しく始めた事業と後妻との関係が上手くゆかず悩んでいる。

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その加瀬に新しい事業を勧めた三浦誠巳だが、彼は地元出身だけれど路面電車の運転手の父(西堀滋樹)と心が通えないで実家に帰れない。それが「裸足」。
その彼が思いがけず父(西堀滋樹)と再会し、短い言葉を交わす。

そして、最後にその父が運転する路面電車が通り過ぎる背後を、「まだ若い廃墟」の親を失った幼い兄と妹が手を繋いで坂道を登ってゆく……。

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海炭市叙景①

生きることのやるせなさ、そして醜さ…。
そんな北の港街の叙景が転々と紡がれてゆき、一つの映画としての抒情を醸し出す。

切なくて哀しい場面が続くが、何故か心優しく響いてくる。
文学に行間を読むという言葉があるけれど、映像にも場面と場面の間に思いを巡らす映画がある。
そんな境地に、この原作を得て熊切監督は近づいた。

また、登場人物とカメラとの距離がとても巧みで映画全体にいい味を出している。
前作の『ノン子、36才』を凌ぐ、出来栄えだろう。
次回作にも期待したい。


しかし、
恵比寿のガーデンシネマは休館するし、シネアミューズもとっくになくなった。
他の渋谷の単館系の映画館もどんどん減ってゆく。
このビルの映画館もまた減った。

予想した通り、客足は今一歩。
こんな映画を多くの人に観て貰いたい………。
劇場を出た後で、疎らな映画館の入口を振り返りながら、そう思った。



※「小茶」とはボクが学生時代からずっと通っていた、新宿の三番街にあった小さな飲み屋。
 当時の店は取り壊されて今はなく、北海道出身のオバちゃんも故人。

(この記事は翌日すこし訂正・加筆しました。)

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2011. 01. 24. (Mon) 17:27  [映画コメント:0  トラックバック:0

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